少し前は健康食品や美容化粧品などがよくMLM(マルチレベルマーケティング、マルチ商法、ネットワークビジネス)で広まっていましたが、今日では仮想通貨そのものや、仮想通貨絡みの投資案件がMLMで広められることが多くなってきました。

怪しい仮想通貨MLMの多くには、本来交付義務があるはずの「概要書面」といったものが一切存在していません。今回は、そんな仮想通貨MLMの現状と法律について考察していきたいと思います。

読む際の注意点としては、私は法律のプロでもありませんし、行政の人間でもありません。法律の記事を書くのは非常に難しいため、何かご指摘があればコメント欄にてお知らせください。

日本におけるMLMの法律について

最初に日本におけるMLMの法律についておさらいしておきましょう。

日本においては、いわゆる無限連鎖講(ねずみ講)によるマーケティングは法律で禁止されています。

ただし特定商取引法に基づく条件を満たす形でねずみ講の営業が許可され、これは「MLM、ネットワークビジネス、マルチ商法、連鎖販売取引」などと呼ばれ、ねずみ講と区別されています。

その条件はざっくり書くと以下の通りです。

  • 商品、サービスの存在
  • 不実告知、誇大広告などの禁止
  • 概要書面の交付義務
  • クーリングオフの設置、クーリングオフの妨害禁止
  • 解約金の額の制限、中途解約権利の設置

概要書面にも、統括者の氏名や会社住所、電話番号など含め、必ず記載しなければいけない項目がいくつもあります。

これらが守られていない場合は法律違反となり、「2年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」とあります。

ただ、法律では営業を許可されていようがねずみ講はねずみ講であり、友人関係のトラブルを生んだり、毎年のようにどこかしらが営業停止処分を受けるなど、MLM、マルチ商法、ネットワークビジネス、連鎖販売取引はかなりグレーな業界であることは事実です。

去年は、リゾネット、フォーデイズ、48ホールディングスなどが問題になりました。

仮想通貨絡みのMLMの現状と法律について

さて、最近のMLMは仮想通貨絡みのものが多いのですが、ほとんどの怪しいものにおいては概要書面が全く交付されている様子がありませんし、そもそも概要書面そのものが存在していません。

過去に日利1%といった高配当を謳ったMLM付きの詐欺投資案件(HYIP)も多く広まりましたが、これらもやはり概要書面が交付されていませんでした。

この時点で日本国においては特商法違反(無登録で投資を募ると更に金商法違反)となるはずなのですが、詐欺師達はこれらを堂々と無視して今日も営業しています。

彼らの言い分としてよくあるのが、「海外法人の運営だから日本の法律は関係ない」というものです。

日本法人を立ててMLMを展開するのであれば、当然ながら日本国の法律を守らなければいけません。ただし海外法人がMLMを展開する場合は、海外の法律に則ることになるため、日本の法律は関係ないというわけなのです。

海外法人でも日本人に向けて営業すると原則法律による規制がかかる

ただし、いくら海外法人を立てて海外の法律に則り仮想通貨のMLMを展開したとしても、日本人向けに営業するのであれば、やはり日本の法律の規制を受ける形となります。

特に日本語の資料が存在していたり、日本で日本人向けにセミナーを開催していればアウトでしょう。

つまり、

  • 個人が海外の仮想通貨MLMに勝手に登録するのは規制の範囲外
  • それを日本人に広めるならば特商法(投資案件なら金商法も)の規制がかかる

ということになります。

更に細かく見るならば、

  • 運営が主体となって日本語の資料作成やセミナー開催をして広めているのか
  • 運営は関与していないが個人が勝手に日本語の資料の作成やセミナー開催をして広めているのか

の違いが出てくるでしょう。

前者であれば行政は運営に文句を言うことができますが、後者であれば行政は運営ではなくプレイヤーを取り締まる必要があります。しかしねずみ算式にビジネス会員が増える仕組み上、芋づる式に全員捕まえるべきなのか、主犯格を捕まえるべきなのか、難しい問題があります。

実際、海外法人のMLMを広めているプレイヤーが、特商法違反で捕まったケースを未だかつて見たことがありません(前例があるならコメント欄にて教えていただけると嬉しいです)。

昨年はビットリージョンやD9などのMLMを用いた詐欺や、ビットクラブやトレードコインクラブといった怪しい仮想通貨のMLMが相当広まりましたが、誰一人としてプレイヤーが逮捕されていないのには流石に違和感を覚えます。

もっと行政は積極的に動いて欲しいと個人的には思います…。

怪しい仮想通貨MLMの多くは法律の抜け道が利用されている

現状、日本人が仕掛けている怪しい仮想通貨のMLMは、特商法(金商法)を回避するために、以下の行動を取っていることが多いです。

  1. 海外法人を立てて、CEOを海外国籍(もしくは非公開)にする
  2. 英語の資料、英語のサイトを作成する
  3. それを日本人のプレイヤーに翻訳及び拡散させる

もちろん運営とプレイヤーは同一人物、もしくはグルなわけですが、プレイヤー側で逮捕者が出たという前例がないため、やりたい放題になっているのが現状です。

そしてMLMが用いられていない怪しい仮想通貨やICOの営業の際にも、上記の手順と同様に海外法人を立て、日本人アフィリエイターに翻訳及び拡散させる手法で広められるパターンが増えてきています。

  • 個人が勝手に海外法人の仮想通貨及びICOに投資するのは規制の範囲外
  • 運営が日本語の資料などを用いて日本人向けに営業するのはアウト
  • 個人がただ公式資料の翻訳及び解説をしただけならセーフ?日本人向けの営業とみなされる境目は?

どの道プレイヤーやアフィリエイター側に逮捕者が出ない限りはこの流れが続いていくと思われます。

個人的には何とかして欲しいところです。

怪しい仮想通貨のMLMにはくれぐれもご注意ください。