ロボアドバイザーのTHEO(テオ)では、運用利益とは別に為替差益が出た場合、特定口座、源泉徴収ありでも確定申告をしなければいけないケースがあるためご注意ください。

今回はその件について解説します。

一般的な株式の確定申告について

THEOの説明に入る前に、一般的な株式の確定申告について軽く触れておきます。証券口座には、

  • 一般口座
  • 特定口座、源泉徴収あり
  • 特定口座、源泉徴収なし

の3種類があります。

一般口座に関しては、「年間取引報告書」を自分で作成する必要があるため、選ぶ必要はないと思います。

特定口座の源泉徴収ありにすると、年間取引報告書を証券会社が作ってくれ、確定申告をしなくても税金が勝手に引かれます。

特定口座の源泉徴収なしにすると、年間取引報告書を証券会社が作ってくれますが、自分で確定申告する必要があります。

源泉徴収なしのメリットとしては、給与所得者が株式の利益を年間20万円未満に抑えた場合に、確定申告を不要にし、税金をカットすることができます。

確定申告が不要になる条件は以下の通りです。

  • 1箇所から収入を得ている給与所得者
  • 給与収入2000万円以下
  • それ以外の所得が20万円以下

この場合に限り節税ができますので、源泉徴収ありの口座にするよりも有利になります。

THEO(テオ)の確定申告はどうか

THEOの口座に関しても、一般口座、特定口座(源泉徴収あり・なし)の3種類から選ぶことができ、一般的な株式の確定申告と仕組みは一緒です。

基本的には特定口座、源泉徴収ありにすれば、THEOでも確定申告不要で運用ができるのですが、実はTHEOには税制上大変な仕組みがあります。

それは、THEOに入金するとドル建てになるという部分です。

詳しく掘り下げていきます。

THEOでは為替差益が出たら特定口座でも確定申告する必要がある

こちらがTHEOの入金時のお金の流れです。

投資家がTHEOに入金した際に、口座の残高がドル建てになり、ドル建て口座からETFを購入、売却をする仕組みになっています。

つまりTHEOに入出金をするということは、ドルの外貨預金をしていることと同じになり、「入金時の為替レート」と「出金時の為替レート」を比較して利益が出た場合、運用利益とは別に申告する必要があります。

ちなみに為替差益は雑所得扱いです。

更に言えば、日本の法律では、ドル建て口座で外国株式(ETF)を売却した時は、一瞬円で受け取ってから改めてドルに替えるという解釈になります。

つまりTHEO内でETFを売却した時は、その都度売却時の為替レートを加味した平均入金為替レートを計算し直す必要があります。ETFで発生した分配金受け取り時も同じです。

例えばTHEOで毎月積み立てをし、毎月分配金を受け取っている場合、

  • 毎月積み立てを行った時の為替レートと金額
  • ETFを売却した時の為替レートと金額
  • 分配金を受け取った時の為替レートと金額

これらをすべて読み込んだ上で、平均の入金為替レートを算出し、出金時の金額と照らし合わせて為替差益を求めなければなりません。

はっきり言いますがめちゃくちゃ面倒です…。

ただし上でも説明した通り、年収2000万円以下の給与所得者で、給与以外の収入が20万円未満に限り申告する必要はありません。当然為替で損失が発生していても申告する必要はありません。

為替差益の計算方法

為替差益を求める公式は、

  • 為替差益=出金時の日本円価値-入金時の日本円価値
  • 入金時の日本円価値=入金時の為替レート×ドル資産額

となります。

計算の例を出します。

  • 1万円を入金→99ドルと反映

入金時の日本円価値=入金時の為替レート×ドル資産額」となりますので、公式に当てはめると、

  • 10000円=入金時の為替レート×99ドル

となり、入金時の為替レートは101.01円と割り出せます。

  • 全額出金時に10100円だった

この場合、「為替差益=出金時の日本円-(入金時の為替レート×ドル資産額)」という公式に当てはめると、

10100-(101.01×99)=100円の為替差益となります。

ETF売却時の為替差益の計算方法

THEOでETFを売り買いしてから出金した時の為替差益を求める公式は以下の通りです。

  • 為替差益=出金時の日本円価値-入金時の日本円価値
  • 入金時の日本円価値=(初回入金時の為替レート×買い余力残高)+(ETF売却時の為替レート×売却時のドル評価額)

ETFの売却直後は、売却分だけ新たにドル入金したという扱いにします。

例えば10000円を1ドル100円で入金し、口座に100ドルあるとします。そこから60ドル使ってETFを買い、1ドル102円の時に70ドルで売却したとします。

「入金時の日本円価値=(初回入金時の為替レート×買い余力残高)+(ETF売却時の為替レート×売却時のドル評価額」ですので、公式に当てはめると、

入金時の日本円価値=(100×(100-60))+(102×70)=11140円となります。

全額出金時に12000円だったとすると、「為替差益=出金時の日本円価値-入金時の日本円価値」なので、

為替差益=12000-11140=860となり、為替損益は860円となりました。

分配金も同様にして、「受け取り時の為替レート×受取時のドル金額」として計算します。

ウェルスナビの確定申告について

よくTHEOと比較される「ウェルスナビ(WealthNavi)」の確定申告についてですが、ウェルスナビの口座内は日本円であり、ETFを購入する時にドルに変換され、売却時に日本円に戻ります。

この状態であれば、資産の売買益と為替差益をまとめて処理できるので、わざわざ為替差益だけを切り離して計上する必要はありません。要するに10000円で外国株を買って11000円で売れた場合、資産の売却益と為替差益を合わせて1000円の利益と計上できます。

この場合は、特定口座、源泉徴収ありにすれば確定申告をする必要はありません。

問題はTHEOのように、ドルに替えた日とETFを購入した日が別々の場合です。この場合はいかに特定口座、源泉徴収ありにしていても、THEOへの入金時と出金時の為替差益を別途計上して、20万円以上なら雑所得として確定申告をする必要性があります。

税務処理が面倒な方は、ウェルスナビの利用をおすすめします。

THEO(テオ)のメリットとは?

税務処理上、手間が増えるTHEOですが、メリットもあります。

THEOのメリットが存分に発揮される時は、「円高ドル安、世界株安」が起こった時です。

この場合は、一時的に高くなった円をあらかじめ安いドルに替えておくことができるため、日本円で口座内に貯めておくよりもリターンを上げられる可能性があります。

また、小額の運用で入出金時の為替差益が20万円を越えることはないという方は、THEOを利用してもなんの問題もありません。