今回は投資詐欺で多く使われるポンジスキームの意味、歴史、手口、騙されないためのチェックポイントなどを解説していきます。

ポンジスキームとは?

ポンジスキームとは、投資詐欺に使われる手口の一つです。

投資家を魅力的な配当で誘惑し、新しい投資家から得た資金を使って既存の投資家に配当金を支払います

簡単に言うと「自転車操業」です。

ポンジスキームに投資した人は、利益が資産運用や商品の売上から来ていると信じ込まされます。

当然ながら新しい投資家によって配当がもたらされているという事実は隠されます。

ポンジスキームは、以下の条件が整っていると永久に存続できます。

  1. 投資家がお金を出金しない
  2. 投資家が、資産運用やビジネスがきちんと行われていると信じている
  3. 新しい投資家が次々と投資している

ポンジスキームの運営者は、「事業が上手くいっており、再投資をすることでより多くの配当を得られる」という説明をし、なるべく出金を最小限に留めるよう努めます。

ポンジスキームだということが公にバレておらず、配当として出す資金がショートしていなければ、新規の投資家を惹きつけることも容易にできます。

ポンジスキームの名前の由来と歴史

チャールズ・ポンジ

ポンジスキームは、「Charles Ponzi(チャールズ・ポンジ)」という人物の名前に由来しています。

彼は1920年代に、この詐欺テクニックを用いたことで有名になりました。

しかし、実際のところは彼が有名になる以前、1880年代に「サラ・ハウ(Sarah Howe)」という人物がポンジスキームの詐欺を行っています。

彼女は米国のボストンで、「レディース・デポジット(Ladies Deposit)」という名前で、月利8%の利回りを謳って女性から投資を募りました。

最終的に手口がバレて捕まり、懲役3年を言い渡されました。

また、ポンジスキームの概念は、Charles Dickens氏が書いた「Martin Chuzzlewit(1844年)」や、「Little Dorrit(1857年)」という小説にも出てきます。

チャールズ・ポンジが有名になったのは、これらの事例を参考にした上で、実際にポンジスキームの手口を使って、米国で巨額のお金を騙し取ったことです。

彼は当初、国際返信切手券(通称IRC)の弱点を突いたアービトラージをして投資家のお金を運用しておりましたが、すぐに新しい投資家のお金を、既存の投資家の配当や、自分自身のために使うようになりました。

ポンジスキームの手口

ポンジスキームは、誰かのお金を使って誰かの支払いを済ませるというのが基本の手口です。

そこで必要になるのが以下の項目です。

  • 投資家に平均以上の利回りを提示する
  • 実際に投資家に投資をさせる

投資家を誘惑する際には、

  • 最先端の技術
  • 理解不能な複雑な戦略
  • 公にはできない独自の戦略

を使った説明をし、投資家の知識の欠如を利用して信じ込ませます。

株やFXはもちろん、ありとあらゆる合法的な投資手段が、ポンジスキームの題材として利用されます。

運営戦略

ポンジスキームの初期には、運営は実際に投資家に高い利回りを支払い、更に多くのお金を投資するように呼びかけていきます。

このことが広まり、他の投資家が飛びつくようになってくると、口コミや群集心理により更に投資が加速していきます。

当然ながら初期の投資家への配当は、新しい投資家のお金から支払います。

そして、ポンジスキームの運営は、資金をスキーム内に残すことを推奨して、出金を最小限に留めます。

また、「投資家がこれだけリターンを上げた」という見せかけの報告書を送信して、スキームが利益を上げていると信じ込ませます。

出金さえされなければ、運営は投資家にお金を支払う必要はありません。

もし少数の投資家が実際に出金しようとした場合は、素直に応じます。

これにより他の投資家にもスキームの正当性をアピールすることができます。

ポンジスキームはいずれ必ず崩壊する

もしポンジスキームが規制当局により止められなかった場合は、以下のどれかの理由によりいずれ必ず崩壊します。

  1. ポンジスキームの運営者が、スキーム内の資金をすべて取って逃亡する
  2. 新規の投資が鈍化し、配当の支払いが困難になり崩壊する
  3. 投資家の不信感が募り、出金が加速して崩壊する
  4. 経済危機などの外的要因により出金が加速し崩壊する

基本的には、後に投資した人の方が甚大な被害を被る事が多くなります。

正当なヘッジファンドがポンジスキームに陥ることも

株やFXなどの運用で利益を得ているヘッジファンドは、まれに予期せぬ事態で多額の資金を失ってしまったり、期待された収益を上げることができない場合があります。

この際、自分たちの非を認めずに虚偽のリターンやレポートを提出し、配当だけを継続して支払うことがあります。

これもポンジスキームに該当します。

正当な投資対象であっても、ポンジスキームに陥る可能性があります。

ポンジスキームは違法なのか?

ポンジスキームは、日本の法律では違法となります。

具体的には、「出資金詐欺」という投資詐欺に分類され、「詐欺罪」に該当します。

詐欺罪の刑罰としては、10年以下の懲役となり、罰金はありません。

ポンジスキームの特徴と引っかからないためのチェックポイント

米国証券取引委員会(SEC)のロゴ

米国証券取引委員会(SEC)によると、多くのポンジスキームには共通した特徴があるため、投資家にとって投資を避けるべきサインになると公表しています。

以下の特徴がある投資案件はポンジスキームの疑いが高まるため警戒すべきです。

  1. ローリスク、もしくはノーリスクで高いリターン
  2. 過度に一貫したリターン
  3. 登録されていない投資
  4. ライセンスを持っていない売り手
  5. 理解不能な戦略、非公開の戦略
  6. 書類に関する問題
  7. 支払いを受け取ることが困難

ローリスク、もしくはノーリスクで高いリターン

あらゆる投資にはリスクが付き物であり、一般的に、高いリターンをもたらす投資はその分リスクが高くなります。

逆に、「元本が保証されるような投資」には最大限の警戒をすべきです。

過度に一貫したリターン

通常、投資のリターンは、上下を繰り返す中で少しずつ積み上がるものです。

特にハイリターンを謳う商品ほど、その上下幅は大きくなります。

マーケットがどのような状況であっても、常に一貫したリターンを上げることができる投資対象には警戒をすべきです。

登録されていない投資

ポンジスキームには、通常SECのような規制当局に登録されていない投資が多く含まれます。

規制当局への登録は重要です。なぜなら、投資家が会社の経営、商品、サービス及び財務に関する重要な情報にアクセスできるようになるからです。

ライセンスを持っていない売り手

連邦及び州の証券法では、投資の専門家及びその企業はライセンスまたは登録が必要です。

ほとんどのポンジスキームには、無免許の個人または未登録の企業が関与しています。

理解不能な戦略、非公開の戦略

あなたが理解できない投資、または完全な情報を得ることができない投資を避けることは、良い結果を生むことが多いです。

書類に関する問題

投資に関する情報を「書面」という形で見ることができない場合は、それができない理由を受け入れないようにしてください。

また、口座明細書の誤りや矛盾は、資金が公約通りに投資されていないという兆候かもしれません。

出金することが困難

まだ出金をしていない場合や、出金をするのが困難な場合は警戒すべきです。

ポンジスキームの運営者は、参加者に対して資金をスキーム内に持ち越すように促し、時には持ち越した額に対して更に高いリターンを提供することを約束します。

上記に該当する投資対象は避けるべきです。

ポンジスキームと仮想通貨

ビットコイン

最近では、ビットコインを代表とする仮想通貨が、ポンジスキームの詐欺師達により研究され、利用されることが多くなっています。

例えば、ポンジスキームが崩壊した後に、投資家の資金を無価値な仮想通貨に替えてしまうといった手口が出てきています。

また、近年よく見るICO詐欺(資金を集めて取引所に上場させ、その後何も活動しないもの)は、ポンジスキームに非常によく似たものになっています。

仮想通貨の規制が遅れていることも要因の一つであり、この先も仮想通貨を利用した様々な手口が出てくると思われます。

また、「バブル」のような実用性とはかけ離れた値上がりが起こった場合も、ポンジスキームに非常によく似たものになります。

ポンジスキームとピラミッドスキームの違い

MLM、ねずみ講

最近ではポンジスキームとピラミッドスキーム(ねずみ講)がセットになっているものが非常に多いです。

ここではポンジスキームと古典的なピラミッドスキームの違いを挙げておきます。

古典的なピラミッドスキームとは、新規会員が支払ったお金がピラミッドを通じて頂点に吸い上げられていくものです。

  1. ポンジスキームは、運営者がすべての投資家と直接対話し、間に入る形で投資を促します。ピラミッドスキームは、参加者が新たな投資家を募ると利益を得ることができます。
  2. ポンジスキームは、難解な投資手法を行っていると謳い、しばしば富裕層の投資家を惹きつけますが、ピラミッドスキームは新しい投資資金が初期の投資家に対する支払いの源になっていることを明示します。
  3. ピラミッドスキームは、参加者が指数関数的に増加する必要があるため遥かに速く崩壊しますが、ポンジスキームの場合は既存の投資家に資金を再投資するように促せば、新規の投資家が少なくても維持することができます。

年金はポンジスキームなのか?

年金はポンジスキームなのか?

年金はポンジスキームなのでしょうか?

上の画像はネット上に出回っている有名な画像で、上の世代の年金のリターンは大幅なプラスになっており、下の世代に行く程リターンが大幅なマイナスとなっています。

これは、GPIFが出す運用利益よりも多くの額を上の世代に配当していることに他なりません。

言い換えれば、下の世代が支払ったお金を直接上の世代に配当していることを意味します。

よって、年金はポンジスキームであると言えます。

ポンジスキームというボードゲームのご紹介

ポンジスキームという、台湾発のボードゲームがあります。

ルール概要としては、実際に詐欺師になってペーパーカンパニーを作り、資金を集めます。

今度は配当金を支払う必要が出てくるため、新たな投資家からお金を集めていき、配当を支払います。

誰かが破産した時点でポイントが一番多い人が勝ちです。

気軽にポンジスキームの詐欺師の気分を味わうことができるようです。

日本語版はありませんが、購入する店舗によっては日本語の説明書が同封されていることがあるようです。